(1号)自民党総裁選挙
自由民主党は、約3年間続いた現岸田総裁の任期満了に伴い、総裁選挙の実施を発表しました。2024年9月12日選挙告示、9月27日投開票です。岸田現首相は、真面目な人柄ではあるが、首相の座は重すぎたというのが一般的見方で、国民の支持を失い、支持率は20%前後に低迷しています。それを支える自民党自体が、パーテイ―券キックバックに紐付いた裏金問題や、各種スキャンダル、保守党を標榜しながら、LGP法に見られる、かなり左傾化した諸施策で、国民の信頼を失っています。
第2次世界大戦後の歴史を見ると、6年間のGHQ占領下時代を経て、1961年サンフランシスコ条約締結で日本は統治権を取り戻しました。
日本独立後、官民が経済復興に注力した結果、経済面では30年余りで、驚異的復活を成し遂げることが出来ました。その結果、世界第2位の経済大国となり、世界で「奇跡の復活」とまで呼ばれました。一方、経済発展が進行してゆくその延長線上で、やがて極端な金余り現象が到来し、行き先を失ったお金は土地と株式に流れ込み、1985年頃、極端な土地、株式のバブル現象を招来しました。これを日本のバブル期と呼んでいます。
しかし、この極端な物価高は、商品市況全体に蔓延したわけではありません、土地と株に限定されたバブル現象でした。 しかし、それを全般的バブル現象と異なる判断をした政府/日銀は極端な金融引き締め策を行い、その結果、1990年以降、約20年以上にわたる長期経済低迷(GDP成長率ゼロ)時代を招く結果となりました。他方1985年行われたブラザ合意以降、日本円の対ドル交換比率は大きく値上がりし、超円高現象を招来し、一時1ドル80円を切り(1995年4月)、日本の国際的価格競争力が喪失したことも、景気低迷に拍車をかけました。
この景気低迷期の中で、やがて、第2次安倍政権が発足し、不況対策として、金利ゼロの金融緩和政策に方向転換され、緩慢な回復期に入りましたが、8年にわたる同政権下でも、積極的財政投資が伴わず、強い経済復活までには至りませんでした。その結果、大方の雇用は維持されたものの、低賃金状態が続き、困難を訴える国民は多く、一般社会に閉塞感が充満しているのが現在の状況です。 経済規模をGDPで見ると、かつて世界第2位の座を占めた日本は、現在、米国、中国、ドイツに次いで第4位に下がり、近くインドにも追い越される恐れもあると懸念されています。
国防面では独立後、一貫して米国依存と国連中心主義で、自国の防衛力をやや軽視した歴史があります。三木自民党内閣の時定めた、日本の防衛費をGDPの1%以内に抑えるということを不文律にしたのがその証左です。しかし、最近の海外事情に目を向けると、ウクライナ戦争、パレスチナ紛争の最中であり、国連の平和機能は役割を果たせず、自国に備えが無ければ自国の安全は保障されないとの実態が浮かび上がってきました。アジアでは中国の膨張主義に起因する不安定な情勢におかれ、更に核保有国であり、且つ、民主主義国とは異なる政治思想で統治されている、中国、ロシア、北朝鮮に近接している日本は、地政学に見て、その安全は薄氷の上にあるような、現実が浮かび上がってきました。岸田政権下で防衛費予算は大きく増額され、防衛に関する骨太方針も制定されましたが、その実行面での立案が急務となっています。更に経済安全(食料、医療、災害、資源。エネルギーなど)での強化が重要な課題と認識され始めました。
このような防衛/安全、経済状況下における、自民党総裁選挙です。自民党総裁は、今のところ、日本国総理になられます。日本の置かれた昨今の経済及び安全環境を考えると、経済の活性化と国民所得の向上、及び国家の安全対策の強化は焦眉の課題であり、したがい、今回の選挙は、とりわけ、賢明な首相選択が行われることが重要です。それは、火を見るより明らかです。一方、自民党総裁を選ぶ投票権は自民党党員及び自民党議員のみに限定されているため、一庶民としては、両者の賢明な判断を願うばかりです。
(くいちろう)